トラックの荷台が開かれると、そこに現われたのは実験室を思わせるなにやら不思議な装置。ガサっとペットボトルキャップが装置に放り込まれると、次はどうなるのかと、子どもだけでなく、大人たちも食い入るように覗き込む。昨年までアジアを中心に活動してきた環境NGOのエコパーティー(千葉県松戸市)が、「日本一周海岸美化発電」を掲げ海岸の清掃、環境保全の啓蒙活動を行うため全国へ出発した。
10キロのプラスチックが10リットルの混合油に
このトラックは全長8.6メートルの8トン車。アースデイ当日も来場者から集めたペットボトルのキャップを混合油にする実演を行った。トラックには油化装置が積まれ、こちらに投入したプラスチックを熱で溶かし、気化、冷却して混合油を生成する仕組みだ。PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)といったプラスチック10キログラムから約10リットルの混合油を作ることができる。さらに蒸留すればその燃料を使って発電することもでき、トラックを走らせることも可能という。
ネパールなどアジア各国で環境教育を実施
アジア各国では、近年のプラスチックの急増により、ペットボトルや河川に流出し、川の水を堰止めることで、大量の蚊が発生しマラリア感染への心配や、大洪水の際、レジ袋が排水溝に詰まって死者が出たり、川や海に流れ出したゴミを海鳥やクジラなどが飲み込んでしまうなど、生物の生存や生態系に悪影響を及ぼすことなどが大きな問題となっている。エコパーティーは2010年から2013年まで「スクールオイルキャラバン」と銘打ち、このトラックでネパールなどアジアの小学校を中心に、プラスチックごみをエネルギーに変えるデモンストレーションなど環境保全、環境学習を実施してきた。プラスチックごみを装置に投入し混合油となって抽出される一連の工程を見た、現地の人たちは『これはウソだ』と疑っていましたが、話を理解すると『日本の技術はすごい!』と目を輝かせていました」と事務局長の上井正則さんは話す。
海岸清掃&作った油で発電してライトアップイベント開催
今年は足元である国内に目を向けるとともに、海の食物連鎖の頂点であるクジラをはじめ、地球環境の未来、保全を図るため、海岸美化推進活動を実施することにしたもので、4月から12月までの8カ月間、海岸の清掃、環境保全の啓蒙活動を行うため全国を回る。「清掃終了後は作った油でライトアップイベントも行います。気軽に参加してください」と上井さん。12月31日、小笠原諸島(東京)でカウントダウンを実施して終了する予定。清掃活動のスケジュールは同NGOホームページ。各地の清掃活動の様子はホームページで紹介していく。