公益財団法人・自然エネルギー財団主催のメディア向けの講演会が2012年11月20日、東京港区で開催され、駐日ドイツ大使館・環境担当参事官のクリスティーネ・ワシレフ氏が、ドイツのエネルギー政策、原子炉の廃炉、核廃棄物処理について講演した。 2011年3月11日の福島原発の事故を契機として、ドイツのメルケル首相は脱原発に方針を転換。ドイツ国内では停止中だった8基の原子力発電所の再起動は原則行わず、また、残り9基の原子力発電所は2022年までの順次停止を決めた。 また、その他の12の原発もすでに運転停止、廃炉に進んでおり、現在、稼働しているのは、研究炉と教育炉各3基、研修炉1基のみだ。同時に2010年に17%だった再生可能エネルギーの割合を、2020年までに35%、2050年まで80%に引き上げる方針を打ち出し、ドイツの北部、中央、南部をつなぐ4500キロメートルの送電網の建設を進めている。
ドイツ国内でこれまで研究施設や原発、再処理工場等の原子力関連企業、医療機関、民間企業から出され保管されている放射性廃棄物の累積量は、2010年末時点で9万6513平方メートル(甲子園の約7倍)。 また、廃炉が決定された原発は完全撤去されるものもあれば、旧東ドイツにあったグリースフィールド原発のように湾に近い立地などを活かし、風車を製造する工場などへの転換を進めているものもある。
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質問に応えるクリスティーネ・ワシレフ 駐日ドイツ大使館・環境担当参事官 |