犬はクマが近づいたときに吠えて知らせてくれるので、夜間はテントの周りをぐるっととり囲むように配置します。犬は寒さにたいへん強く、餌を食べていれば、外でも生きることができます。音が聞こえないと命にも関わるので、音楽を聴くこともできず、吹雪のときはただ、じっとして過ごすします。こういうときは辛いですが、ただ、じっと耐え嵐が過ぎるのを気長に待つしかありません。 ずっとテント生活ということではなく、イヌイットが狩りに使う小屋などに宿泊することもあります。また、定期的に小型飛行機やスノーモービルで食糧や水の補給を受けながら移動します。ほとんど単独行動ですが、場所によっては現地のイヌイットの助けを借りながら、チームで動くときもあります。自分の位置を知らせるGPSがあるので、そういう面では安全性は比較的確保されています」 ■厳しい環境を克服する原動力は何ですか?また、今後はどんなことをやっていきたいとお考えですか? 思い立ったら行動するという性格で、思いだけでこの地を訪れました。冒険が実行できないことが分かったときはがっかりしましたが、毎年この地に足を運ぶうち、現地のイヌイットから犬そりの操縦方法を学び、そして、研究者たちとの出会いがありました。それらはすべて偶然で、好きなことをやってきたその延長線に今がありますが、今の仕事に出会えて良かったと思っています。 妻は南極越冬隊だったということもあり、私の仕事に対して理解してくれています。ただ、両親は今でも心配なようで、諸手を挙げて賛成ということではないようですが、それでも最近はメディアなどで取り上げられる機会も増え、そんな姿を見て喜んでくれているようです(笑)。
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